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母性のかたち

湊かなえ「母性」、面白かった。

「愛能う(あとう)限り娘を大切に育ててきました」という母親。

その言葉とはうらはらに、一種異様な母親像。

母親の手記、娘の手記という対比でこぎみよく巧みに不穏な世界観に引き込まれていく。

悪気なく、自分の価値観を押し付ける母親。

娘は褒めてもらおうといい子を振る舞うが、本質的にはなかなか分かり合えず、娘はただひたすらに母親の愛を求め続ける。

これを母性というのか、いや、エゴ(自我)だろう、などいろいろ考えさせられる。


母性とは、自分の子供を守り育てようとする本能的な特質。

母になれば誰もが持っている、と言われる。


そんな常識に様々な意見や反発があることもこの本が売れる要因なんだろう。

2012年に出版されてからジワジワと100万部突破にまで至り、今年は映画化が決まっているらしい。


見返りを期待しない愛。

無償の愛。


世間一般の常識と実像とはギャップがある。

私も娘を持って育てて分かったことは、自分の母とのそれとは全然違う。

また、大切に育てているつもりではあるが、自分のエゴがその中に入り込み、これを無償の愛と言い切れるのかどうか、は疑問。


母性のかたちなんて十人十色。

子供から見返りを求めたり、エゴとエゴのぶつかり合いになったって、人間らしくていいではないか。

実像はそんなものなのではないだろうか。

少なくとも、他人からの目など気にする必要はない。絶対に。


自分の中に何か信じられる思いが一つでもあれば、それでいい。

そう自信を持とう。





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